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東京地方裁判所 昭和51年(行ウ)203号 判決

東京都新宿区歌舞伎町二三番三二

原告

株式会社勇栄商事

右代表者代表取締役

梶山勇

右訴訟代理人弁護士

村山廣二

東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号

被告

淀橋税務署長 橋本博次

右訴訟代理人弁護士

国吉良雄

右指定代理人

古俣与喜男

関川哲夫

池田隆昭

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

(当事者の求めた判決)

第一請求の趣旨

原告の昭和四六年三月一日から昭和四七年二月二九日までの事業年度の法人税について、被告が昭和五〇年四月二八日付でした更正処分及び重加算税賦課決定処分を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

第二請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

(当事者の主張)

第一請求原因

一  原告は、大衆酒場を営む同族会社であり、青色申告書の提出の承認を受けているものであるが、昭和四六年三月一日から昭和四七年二月二九日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について確定申告をしたところ、被告は、昭和五〇年四月二八日付で更正処分及び重加算税賦課決定処分(以下これらを一括して「本件課税処分」ともいう。)をした。原告は、これに対して異議申立て及び審査請求をしたが、いずれも棄却された。その経緯は、次表のとおりである。

二  しかしながら、本件課税処分には、次のような違法があるので、その取消しを求める。

1 本件更正処分は、借入金二、〇〇〇万円を立退料と認定した違法がある。また、仮に立退料であったとしても、その収益の算入時期を誤っている。

2 本件更正処分の理由附記に不備がある。

3 本件重加算税賦課決定処分は、その課税要件を充たさないものである。

第二請求原因に対する認否

一  請求原因一の事実は認める。

二  同二の主張は争う。

第三被告の主張

一  借入金と計上された二、〇〇〇万円が立退料(益金)であることについて

1 原告は、別紙一記載の建物部分(以下「本件建物」という。)を株式会社小林平三商店(以下「小林商店」という。)から賃借していたが、右賃貸借契約は昭和四六年一一月四日東京地方裁判所における訴訟上の和解により合意解除された。そして、右和解条項には、小林商店は和解成立後五日以内に原告に二、〇〇〇万円を、弁済期を貸付けの日より一〇年後、利息を年五分として貸し付けるとの定めがあったことから、原告は、これに基づき、二、〇〇〇万円(以下「本件二、〇〇〇万円」という。)をその他の金員(保証金・敷金の返還金二、五〇〇万円、造作買取代金五〇〇万円)とともに昭和四六年一一月九日小林商店より交付を受け、長期借入金として処理して申告した。

2 しかし、被告の調査によれば、本件二、〇〇〇万円は借入金ではなく、その事実は、本件建物の明渡しに際し小林商店より支払われた立退料の一部である。すなわち

(一) 前記のとおり和解条項のうえでは、小林商店が二、〇〇〇万円を原告に貸し付けることになっているが、原告と小林商店との間の真の合意では、小林商店が原告に本件建物の立退料として二、五〇〇万円を支払うというものであった。しかし、二、五〇〇万円を原告がそのまま立退料として受領すれば、それが課税対象となるのを免れないので、これを回避するため原告と小林商店は、協議のうえ次のような合意に達した。

(1) 立退料二、五〇〇万円のうち五〇〇万円は、本件建物に附加した造作の買取費の形をとること

(2) 残金二、〇〇〇万円は、貸付金の形とし、裏で小林商店がその返済を求めない旨の念書を差し入れること

(3) 右貸付金を税務当局から否認されることを回避するため、原告が年五分の利息(一〇〇万円)を毎年支払う形をとること

(4) 右利息を実際に支払うわけではないので、その対応策として、利息と同額の営業補償費を原告が小林商店から受け取ることにし、かつ、それぞれの支払日を一致させて相殺により金銭の授受を要しない形をとること

(二) 右のような合意のもとに、原告と小林商店は、前記の訴訟上の和解を行い、昭和四六年一一月九日、小林商店は、所定の金銭の支払いをするとともに、貸付元本債権二、〇〇〇万円を弁済期到来とともに放棄する旨を記載した念書を原告に差し入れた。

(三) 以上のことからすれば、訴訟上の和解において貸付金とされた本件二、〇〇〇万円について、原告は、将来返還する意思はまつたくなく、また、小林商店の方でも返還を受けることを予定していないのであるから、このような貸付金契約は当事者の法律的効果意思を欠くものとして無効であり、本件二、〇〇〇万円の実質的性格は立退料である。

3 よって、被告が、本件二、〇〇〇万円をその実質に従って立退料(益金)と認定したのは正当である。

二  立退料の収益計上時期について

1 法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、当該事業年度における収益の額であるが、この収益の計上時期は、当該収入すべき金額の権利が確定したときであるとされている。

2 ところで、本件においては、前記のとおり原告と小林商店との本件建物に関する賃貸借契約は、本件二、〇〇〇万円の立退料(造作買取費を含めると二、五〇〇万円)を支払う約定のもとに昭和四六年一一月四日合意解除され、原告は、現実に本件二、〇〇〇万円の立退料を同月九日に小林商店より受領しているのであるから、右立退料債権は、同月四日原告の小林商店に対する債権として確定し、同月九日現実にその金員を収受することによって収益が確定的に実現したものというべきであり、本件二、〇〇〇万円を原告の本件事業年度の益金に計上すべきは当然である。

三  青色申告書に係る更正の理由附記について

1 本件更正処分の通知書の「更正の理由」欄に記載された附記理由は、別紙二のとおりである。

2 これによれば、本件更正処分の理由附記は、原告の帳簿との関連において更正に係る勘定科目及び金額を明示するとともに、更正する根拠、すなわち借入金を実質立退料であると認めた理由を契約当事者の確認及び念書の存在を挙げて明らかにしているのであるから、法の要求する理由附記としてなんら欠けるところはない。

四  重加算税賦課決定について

前記一から明らかなように、原告は、法人税を免れる目的で課税標準の計算の基礎となるべき立退料収入を経理上借入金と仮装して処理し、その仮装したところに基づいて確定申告書を提出したものであるから、国税通則法六八条一項の規定に基づいて重加算税を賦課した本件重加算税賦課決定処分は、適法である。

第四被告の主張に対する認否

一  被告の主張一の1の事実は認めるが、同一の2の前文の主張は争う。同一の2の(一)の事実のうち、(4)の原告が利息と同額の営業補償費を受け取ることとし、かつ、両者の支払日を一致させて相殺により金銭の授受を要しない形をとることにしたことは認めるが、その余の事実は否認する。同一の2の(二)の事実のうち、被告主張のような合意があったことは否認するが、その余の事実は認める。同一の2の(三)及び同二の3の主張は争う。

二  同二の2のうち、本件建物の賃貸借契約が昭和四六年一一月四日合意解除され、原告が本件二、〇〇〇万円を受領したことは認めるが、その余の事実及び主張は争う。

三  同三の1の事実は認めるが、同三の2の主張は争う。

四  同四の事実及び主張は争う。

第五原告の反論

一  被告の主張一について

原告が昭和四六年一一月九日小林商店より受領した本件二、〇〇〇万円は、和解調書にも記載されているとおり借入金である。

1 本件建物の明渡しに伴う営業補償費の金額が本件借入金の利息額と同一であり、結果的に無利息と同一の効果が生じるのは事実であるが、これは、原告が新店舗で営業を新たに開始することにより当分の間収益が減少すること及びローン返済等の資金事情を考慮して右のように定めたのであり、合理性のある行為である。

2 本件借入金については、小林商店と原告との間で、一〇年後の弁済期到来とともにその返還請求権を放棄する旨の予約が完結された場合、原告及び小林商店の法人税負担額は、本件二、〇〇〇万円の性質を立退料とした場合に比較し二倍にもなるのである。それにもかかわらず、敢えて、原告と小林商店が返還請求権放棄予約付貸付金という法形式を用いたのは、本件二、〇〇〇万円授受当時の双方の経済的事情によるものなのである。すなわち、本件建物の明渡しに際し、代替店舗の取得を必要とする原告としては、多額の資金を他からの借入金によって賄わなければならなかったが、それだけの信用力もなく、本件二、〇〇〇万円は原告にとって必須の資金であり、これがあれば、一〇年後に債務免除によって賦課される法人税はこれを負担できる見通しがあったのに対し、小林商店は、資金的余力があり、また明渡しを受けることにより多大の利益を得られるのであるから、本件二、〇〇〇万円を貸し付け、一〇年後にこれを放棄することなどは、それほど困難な問題ではなかったのである。

3 要するに、本件で小林商店が原告に二、〇〇〇万円を貸し付け、弁済期経過後にその返還請求権を放棄することとしたのは、それなりの理由があったのである。このように合理的な経済目的から合法的になされた私法上の行為まで、それが他の法形式を用いた場合に比して税負担の軽減をもたらすことを理由に、法律上の規定によらないで否認することは許されないというべきである。

二  被告の主張二について

仮に、本件二、〇〇〇万円が立退料であるとしても、その収益を本件事業年度の益金に算入することは違法である。

1 建物立退料は、賃借権消滅の対価、移転費用の補償及び明渡しによる事実上の利益の喪失に対する補償の性格を併せ有し、いずれも建物明渡しと対価関係にあると解される。したがって、立退料が収益として確定するのは、明渡しの合意成立時でも金銭授受の時でもなく、建物明渡し時と解すべきである。明渡し以前に金銭の授受があっても、それは、前渡金として負債処理される筋合のものである。

2 ところで、本件建物の明渡しは、昭和四七年三月二七日であるから、本件では、この日をもって立退料としての益金が確定したものと見るべきところ、この日の属する事業年度は、本件事業年度ではなく、その翌年度である。

よって、本件更正処分は、益金の算入時期を誤っているというべきである。

三  被告の主張三について

1 本件二、〇〇〇万円は、東京地方裁判所において成立した訴訟上の和解に基づく借入金であるところ、訴訟上の和解は、当事者双方の徹底した攻撃防禦の上に成り立っているのであるから、これを否認するからには、その理由附記は、一般の場合のそれよりも更に一層十分な根拠と理由を明示しなければならないというべきである。これに加えて、本件二、〇〇〇万円を借入金とするか立退料とするかでは、原告と小林商店の利害は相対立するものであるが、その利害対立当事者がそれぞれの利害得失を十分考慮検討して、本件二、〇〇〇万円を借入金としたものである以上、これを否認するには、当事者を納得させるだけの説得力ある合理的理由が示されなければならないことは当然である。

2 しかるに、本件の理由附記において本件二、〇〇〇万円を立退料として認めた根拠として掲げられているのは、小林商店がこれを確認していること並びに借入金を打ち消すため昭和四六年一一月四日付で念書をもって明確にし、これを原告に交付していることの二点でしかない。しかし、これでは、小林商店の誰れが、何時、何びとに対しいかなる確認行為をしたのか不明であるし、また、念書についても、念書にいかなる記載があり、これをもって和解条項のどの部分をどのように変更したのかまったく示されていないうえ、この念書交付によって何故借入金が立退料と認定されるのか、その理由が十分でない。

四  被告の主張四について

前述したとおり、本件二、〇〇〇万円に関して原告は事実の隠ぺいも仮装もしておらず、法人税を免れる意図もなかったのであるから、本件において重加算税の賦課要件は存在しない。

(証拠)

第一原告

一  甲第一ないし第九号証、第一〇号証の一、二、第一一ないし第二〇号証、第二一号証の一ないし一三

二  証人小林平三、同村山廣二の各証言及び原告会社代表者梶山勇本人の尋問の結果

三  乙第一、第二、第五、第九号証の成立並びに第三号証、第四号証の一ないし三、第六号証の原本の存在及び成立は認めるが、その余の乙号各証の成立(第八号証は原本の存在も)は不知。

第二被告

一  乙第一ないし第三号証、第四号証の一ないし三、第五ないし第九号証

二  甲第一一ないし第二〇号証の成立並びに第一ないし第三号証、第五、第九号証、第一〇号証の一、二の原本の存在及び成立は認める。甲第四号証の原本の存在及び官公署作成部分の成立は認めるが、その余の部分の成立は不知。甲第八号証の原本の存在及び書込み部分を除くその余の部分の成立は認めるが、右書込み部分の成立は不知。その余の甲号各証の成立は不知。

理由

一  請求原因一の事実は、当事者間に争いがない。

二  本件二、〇〇〇万円の性格-借入金か立退料か-について

1  被告の主張一の1の事実は、当事者間に争いがない。

2  成立に争いのない甲第一二、第一四、第一六、第一八号証、乙第一、第二号証、原本の存在とその成立に争いのない甲第五号証、第八号証(書込み部分を除く。)、第一〇号証の一、乙第四号証の一ないし三、証人小林平三の証言により原本の存在と認められる乙第八号証、原本の存在と官公署作成部分の成立は争いがなく、その余の部分も弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第四号証及び弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第七号証、乙第七号証並びに証人小林平三、同村山廣二の各証言及び原告会社代表者本人の尋問の結果を総合すると、本件二、〇〇〇万円が小林商店から原告に支払われた経緯は、次のとおりであることが認められる。すなわち、

小林商店は、昭和四六年四月ころ、賃借人である原告に対し本件建物の明渡しを求めたが、原告がすぐにはこれに応じなかったことから、両者間にその明渡しをめぐって紛争を生じ、原告は、小林商店外一名を相手方として妨害排除の仮処分決定をえ、更にはその執行を確保するため当庁に間接強制の申立(当庁昭和四六年(モ)第七、五一五号間接強制申立事件)をした。しかし、裁判所から和解による解決を勧告されたこともあって、原告の代理人村山廣二弁護士と小林商店の代理人武岡嘉一弁護士とが裁判所外において折衝を重ねた結果、原告が本件建物を明け渡す代わりに、小林商店は原告が差し入れていた保証金・敷金合計二、五〇〇万円全額を返還するほか、本件建物の造作を五〇〇万円で買い取り、更に立退料として二、〇〇〇万円を原告に支払うことで合意に達した。しかし、原告としては、二、〇〇〇万円を立退料として受領することは、それが課税の対象となり可処分所得の減少を招くことから、これを回避するため、小林商店と交渉し、(イ)右二、〇〇〇万円を一〇年間原告が借り受ける形にし、一〇年を経過したときは、小林商店が右貸付金債権を放棄すること、(ロ)右借受けについて、これを無利息とすることは、税務当局から疑いをかけられるので、一応利息は年五分(一〇〇万円)とすること、(ハ)しかし、実際に利息を支払うわけではないので、その方策として、小林商店が原告に今後一〇年間毎年右利息と同額の一〇〇万円を営業補償費として支払うこととし、かつ、右利息と営業補償費の支払日を一致させ相殺により金銭の授受を要しないようにすること並びに(ニ)将来の紛争を避けるため、小林商店は右(イ)のとおり貸付金債権を弁済期に放棄する旨の念書を原告に交付すること、以上の了解をとりつけた。そして、右了解のもとに、前記申立事件に関して訴訟上の和解が成立し、その和解調書には、小林商店が二、〇〇〇万円を原告に貸し付ける旨の一項が設けられ、更に本件二、〇〇〇万円が原告に支払われた昭和四六年一一月九日小林商店から原告に対し、弁済期到来とともに二、〇〇〇万円の貸付元本債権を放棄する旨の同日付の念書が差し入れられた(右のうち、訴訟上の和解の成立、本件二、〇〇〇万円の支払い及び念書差入れの点は、当事者間に争いがない。)。しかし、小林商店は、自己の決算において、本件二、〇〇〇万円の支出につきこれを貸付金ではなく立退料として処理した。

以上の事実が認められ、右認定に反する甲第九、第一一、第一五号証の記載及び原告会社代表者本人の尋問の結果は措信することができず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

3  右事実によれば、本件二、〇〇〇万円は、名目上は期間を一〇年、利息を年五分とする借入金となっているものの、これは専ら本件二、〇〇〇万円の収受に伴う原告の税負担を回避するために仮装されたものであり、真実は本件建物の明渡しの代償として支払われた立退料であることが明らかである。

三  本件二、〇〇〇万円の収益計上時期について

本件建物に関する賃貸借契約が昭和四六年一一月四日訴訟上の和解により合意解除され、同月九日本件二、〇〇〇万円を原告が小林商店より受領したことは、当事者間に争いがなく、また、本件二、〇〇〇万円の性格が本件建物の明渡しの代償として支払われた立退料であることは、先に認定したところである。そうであるならば、本件二、〇〇〇万円は、建物明渡しの履行をまつまでもなく、本件事業年度の益金に属するものというべきである。

よって、本件更正処分が本件二、〇〇〇万円の立退料を原告の本件事業年度の収益に算入したのは、正当である。

四  更正の理由附記について

原告が青色申告書の提出の承認を受けている法人であり、本件更正処分の附記理由が別紙二のとおりであることは、当事者間に争いがない。そして、別紙二の附記理由によれば、更正に係る項目、金額及びその根拠が一応具体的に明示されており、法が青色更正に理由附記を要求する趣旨はみたされているものということができる。

よって、本件更正処分の理由附記に不備の違法はない。

五  重加算税賦課決定処分について

原告が、本件二、〇〇〇万円は本件事業年度の益金に計上すべき立退料であるにもかかわらず、課税を免れるためこれを借入金と仮装して処理し申告したことは、前示二の事実から明らかであるから、原告は重加算税の賦課決定を免れない。

六  結論

以上のとおりであるから、本件課税処分に原告主張の違法はない。

よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 佐藤繁 裁判官 佐藤久夫 裁判官 川崎和夫)

別紙一

東京都新宿区角筈一丁目八〇八番二、同番三 所在

家屋番号 角筈一丁目八〇八番二の一

一 鉄筋コンクリート造陸屋根地下三階地上四階建

店舗、事務所、倉庫、居宅

のうち

一階正面出入口より左側部分

七七・八五平方米(二三・五五坪)

別紙二

立退料収入計上もれ、二、〇〇〇万円。

株式会社小林平三商店所有の三平ビル(旧塚原ビル)立退に際し、昭和四六年一一月九日付で受領した金二、〇〇〇万円について貴社の経理では、借入金として経理されておりますが、事実は立退料でありますので益金に加算します。

立退料として認めた理由。

貴社と小林平三商店との間で結ばれた和解調書(昭和四六年(モ)第七五一五号事件、昭和四六年一一月四日和解)によれば、金二、〇〇〇万円は、借入金となっておりますが、その実質は立退料であるため、株式会社小林平三商店は、これを確認するとともに和解調書に記載された借入金を打ち消すため、同日付で念書をもって明確にし、これを貴社に交付しておることが明らかであるからです。

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